民泊ビジネスは、地域ごとの独自ルールに照らし合わせながら進める必要があります。東京23区内はそれぞれの区でルールが異なり、例えば同じ浅草でも台東区側と墨田区側では全く厳しさが異なるなど注意が必要です。
この記事では、住宅宿泊管理業者が23区の民泊運営に必要なルールや注意点を詳しく解説します。
【Aランク:ルールゆるめ】墨田区・北区・葛飾区・江戸川区
Aランクに設定した区は、用途地域によっての制限すらなく民泊に優しい区となってます。住宅宿泊管理業者であるゆめゆめトラベルにも多くの物件相談が寄せられる区です。
墨田区
【独自ルール】特になし
【解説】
用途制限地域の条件も無く、民泊に非常に寛容な区であると言えます。スカイツリーなどの観光地もあり、かつ、物件も比較的リーズナブルということで民泊運営としては非常におすすめな区です。
北区
【独自ルール】特になし
【解説】
用途制限地域の条件も無く、民泊に非常に寛容な区であると言えます。メジャーな観光地こそないものの、場所次第では池袋や巣鴨にも近く、物件も比較的リーズナブルということで民泊運営としてはエリア次第で有力な区です。
葛飾区
【独自ルール】特になし
【解説】
用途制限地域の条件も無く、民泊に非常に寛容な区であると言えます。柴又帝釈天などもある下町情緒あふれるエリアであり、物件も比較的リーズナブルということで民泊運営としては非常におすすめな区です。
江戸川区
【独自ルール】特になし(駆けつけ20km以内のみ)
【解説】
用途制限地域の条件も無く、民泊に非常に寛容な区であると言えます。西葛西などディズニーランドにも近いエリアは民泊ニーズも高く、民泊運営としては非常におすすめな区です。
【Bランク:ルール普通】大田区・渋谷区・新宿区・豊島区・世田谷区・中野区・杉並区・板橋区・練馬区・足立区
Bランクに設定した区は、用途地域によっての制限が多少なりあるものの、23区の中でも比較的規制が緩やかな区となってます。住宅宿泊管理業者ゆめゆめトラベルの管理物件の中でも、渋谷区・新宿区・豊島区は非常に人気となっており、多くの民泊が運営されています。
大田区
【独自ルール】
[民泊]「旅館・ホテル」の建築可能な用途地域(小・中学校敷地周囲100メートル以内では、月曜日正午から金曜日正午まで実施不可)
[民泊特区]「旅館・ホテル」の建築可能な用途地域・最低利用日数2泊3日以上(営業日数制限なし)
【解説】
大田区は民泊特区という特別な制度を設けており、旅館業の免許を取らずして年間の営業日数に制限がない運営が可能です(その場合住宅宿泊管理業者への委託も不要です)。
羽田空港からのアクセスも良い大森〜蒲田エリア賃料も比較的安いため、民泊運営としては狙い目です。
渋谷区
【独自ルール】
旅館業における施設の建築が建築基準法で認められない区域(住居専用地域、文教地区)については、住宅宿泊事業の実施の制限を設けること。(4月5日から7月20日まで、8月29日から10月の第2月曜日の前の週の水曜日まで、10月の第2月曜日の前の週の土曜日から12月25日まで、1月7日から3月25日まで)
ただし、届出住宅の周辺地域の住民および町会からの苦情などに迅速に対応できる体制が確保できると認められるもので、定められた要件にいずれも該当する場合には、制限する区域においても期間の制限にかわらず180日までの実施を認めます。
※その他はキーボックスNG(スマートキーOK)、事業ゴミの排出は法人に委託しなくてはいけない(事業ゴミシールNG)
【解説】
渋谷区は外国人からもNo1の人気であり、かなり高い集客力が期待できます。
用途地域で住居専用地域・文教地区に当たる場合の制限はあるものの、近隣在住で迅速な駆けつけができる場合は180日可能という優しい緩和条件があります。
運用ルールにおいてもキーボックスNG(スマートキーOK)という条件を除いては比較的緩やかで、民泊でも最も人気の高い区です。
新宿区
【独自ルール】
住居専用地域では、月曜日の正午から金曜日の正午までは住宅宿泊事業を実施することができません。住居専用地域以外では、曜日を問わず、法の規定どおり年間180日まで事業を実施することができます。
【解説】
渋谷区に次いで、外国人観光客にも人気の高い新宿区は2018年の民泊法施行タイミング前は違法民泊が横行したため厳しい条件でしたが、現在はかなり緩和されています。用途地域で住居専用地域に当たる場合の制限はあるものの、条件は緩いほうであると言えるでしょう。
豊島区
【独自ルール】
住居専用地域などの区域・期間制限なしという嬉しいルール。ただし、名簿の記載及び鍵の受け渡しは対面必須。
【解説】
池袋がある豊島区は、用途地域の制限がないこともあり、民泊において非常人気のエリアです。しかし、名簿と鍵の受け渡しを対面での対応を必須としている点で、運用面では厳しいと言わざるを得ません。この運用面さえクリアできればかなり狙い目です。
世田谷区
【独自ルール】
用途地域において、住居専用地域(第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域及び第二種中高層住居専用地域)では、月曜日の正午から土曜日の正午まで(祝日を含む場合にあっては、当該祝日の正午から翌日の正午までの期間を除く)の実施を不可とする。
【解説】
まず、物件の用途地域を調べることが必要不可欠です。住居専用地域に当たる場合は平日の運用が難しいため諦めた方が無難です。ただし、それ以外の用途地区については特に規制もなく、渋谷や二子玉川などの人気スポットへのアクセスも良いことから、物件さえ見つかれば狙い目かもしれません。
中野区
【独自ルール】
制限区域内=都市計画法に基づく用途地域のうち、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域に該当する区域は、宿泊可能期間=金曜日・土曜日・日曜日・国民の祝日のみ。※ただし、家主同居型(ホームステイ型)で必要な要件を満たす事業者は、中野区長の許可を受けることにより、制限区域内でも平日に事業を実施することが、一定の条件を付した上で認められます。
【解説】
まず、物件の用途地域を調べることが必要不可欠。住居専用地域に当たる場合は平日の運用が難しいため諦めた方が無難です。ただし、不在型ではなく同居型なら平日も可能との緩和条件があります。
中野区は新宿へのアクセスもよく、賃料もリーズナブルなため狙い目です。
杉並区
【独自ルール】
住居専用地域(第1種、第2種の低層および中高層住居専用地域)での家主不在型民泊の場合には、休日前の正午~休日後の正午の期間を除く、月曜日正午~金曜日正午までの期間(平日)の事業実施を制限します。
【解説】
まず、物件の用途地域を調べることが必要不可欠。新宿区と同等のルールとなります。杉並区は、高円寺・阿佐ヶ谷・荻窪等の新宿にアクセスの良い中央線駅があり、賃料もリーズナブルなところも多い点がメリットですが、知名度の高い駅や地区も少ないため、民泊をやる場合は立地が駅近など条件をしっかり見る必要があります。
板橋区
【独自ルール】
法第18条の規定に基づき区域を定めて事業を実施する期間を制限しています。
制限する区域:住居専用地域(第一種低層、第二種低層、第一種中高層、第二種中高層)を制限区域とします。
制限する期間:日曜日の正午から金曜日の正午までを制限する期間とします。ただし、国民の祝日に関する法律に定める休日の前日の正午から翌日の正午までを除きます。
その他:法の趣旨である必要最低限の規制とするため、住宅宿泊事業者が自ら住宅宿泊管理業務を行うもの(家主居住型)等苦情等に即時に対応できるものは規制の対象外とします。
【解説】
まず、物件の用途地域を調べることが必要不可欠。
左記の住居専用地域に当たる場合は平日の運用が難しいため諦めた方が無難です。ただし、不在型ではなく同居型なら平日も可能との緩和条件があります。板橋区はこれといって目立つ集客要素はないものの、賃料がリーズナブルなこともあり物件と立地によっては効率が良いかもしれません。
練馬区
【独自ルール】
月曜日の正午から金曜日の正午までは営業できません。「金曜日の正午から月曜日の正午まで」および「祝日の前日の正午から祝日の翌日の正午まで」の期間は営業できます。建物が建っている土地の過半が住居専用地域の場合は、上記の制限がかかります。
【解説】
まず、物件の用途地域を調べることが必要不可欠。左記の住居専用地域に当たる場合は平日の運用が難しいため諦めた方が無難です。(建物の敷地の過半が住居専用地域の場合、住居専用地域とみなされます)
練馬区はワーナーブラザーズスタジオ(元豊島園)があり、観光スポットは限られていますが物件次第で効率の良い運営ができる可能性があります。
足立区
【独自ルール】
住居専用地域では、事業の実施期間について、以下のとおり制限があります。
(1)月曜日の正午から金曜日の正午までは事業を実施できません。
住居専用地域営業可能日
(2)祝日の正午から翌日の正午までは実施可能です。
(3)ただし、(1)、(2)の規定にかかわらず12月31日正午から翌年の1月3日正午までは実施できません。
【解説】
まず、物件の用途地域を調べることが必要不可欠。
住居専用地域に当たる場合は平日の運用が難しいため諦めた方が無難です。物件がリーズナブルな区ではあるので、用途地域条件さえクリアすれば他の条件は緩いためやりやすいものの、西新井大師や桜の時期の舎人公園以外の集客力に欠けるのはネックです。
【Cランク:厳しい】品川区・港区・台東区・文京区・千代田区・中央区・江東区・目黒区・荒川区
Cランクに設定した区は、23区の中でも用途地域の制限範囲が広かったり、管理者の常駐を求めるなど制限の厳しい区であり、よほどの物件・条件でない限りは避けた方が無難と考えます。住宅宿泊管理業者ゆめゆめトラベルとしては、事前に管轄保健所への相談の上での仮審査お申し込みをお勧めします。
品川区
【独自ルール】
用途地域において、近隣商業地域および商業地域(ただし第一種文教地区または第二種文教地区に該当する場合を除く。)を除く区内の全域を制限区域とし、制限区域内では月曜日の正午から土曜日の正午までの実施を制限する。
【解説】
まず、物件の用途地域を調べることが必要不可欠。住居専用地域に当たる場合は平日の運用が難しいため諦めた方が無難です。しかし、用途地域で近隣商業地域と商業地域(文教地区除く)であれば制限はなく180日の民泊実施が可能です。
目黒駅(実は品川区です)、五反田駅、大崎駅、品川駅等の山手線近くの物件であれば狙い目でしょう。
港区
【独自ルール】
実施を制限する区域は、次に掲げる区域です。
都市計画法第8条第1項第1号に規定する第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域及び第二種中高層住居専用地域
東京都文教地区建築条例に規定する文教地区
制限区域において、家主不在型住宅宿泊事業の実施を制限する期間は、次の通りです。
1月11日正午から3月20日正午
4月11日正午から7月10日正午
9月1日正午から12月20日正午
【解説】
まず、物件の用途地域を調べることが必要不可欠。住居専用地域・文教地区に当たる場合は営業日数がかなり厳しい制限のため、諦めた方が良いでしょう。(家主居住型が可能であれば現実的です)
逆に、用途地域条件が外れさえすれば、他の制限はなくやりやすい区であると言えます。
台東区
【独自ルール】
管理者が常駐しない届出住宅については、月曜日の正午から土曜日の正午までの期間(祝日、年末年始除く)は実施を制限します。
【解説】
一見厳しいのですが、同じ建物内に物件管理者(居住型までの厳しい条件でもなく、また、住宅宿泊管理業者で無くて良い)が常駐している場合は平日も運営が大丈夫。物件によってはラッキーなものがあり!秋葉原や上野アメ横、上野動物園、浅草など外国人が喜ぶ観光地も多いこの区は条件さえクリアすれば魅力的な区ではあります。
文京区
【独自ルール】
(1)第一種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域及び準工業地域においては、日曜日の正午から金曜日の正午までは住宅宿泊事業を行うことができません。
(2)第一種文教地区及び第二種文教地区の地域においては、日曜日の正午から金曜日の正午までは住宅宿泊事業を行うことができません。
(3)上記の規定の適用に当たっては、届出住宅の敷地の過半が、指定する区域の範囲に含まれる場合は、当該敷地を制限区域とみなします。
【解説】
住居専用地域だけでなく、住居地域や準工業地域もNGとしているあたり文京区の厳しさが垣間見えます。学校と住宅地の多い文京区において、制限地域に含まれないエリアがそもそも少なく、民泊の数も少ない区です。ただ、後楽園近くなど集客力もある商業地区で物件を見つけられればラッキーかもしれません。
千代田区
【独自ルール】
家主不在・居住型に関わらず、日曜日の昼~金曜日の昼 不可。
家主不在型は、駆け付け要件を満たす管理者(住宅宿泊管理業者とは限らない)が、以下のいずれかである必要がある。
・当該届出住宅内
・当該届出住宅と同一建築物内
・当該届出住宅と同一の敷地内に存する建築物内
・当該届出住宅に隣接している建築物内
【解説】
非常に厳しく、条件を満たすのはかなり困難であると言えます。居住型であっても平日の実施NGであり、ほぼ採算は取れないため、趣味レベルでしか実現しなそうです。
中央区
【独自ルール】
家主不在・居住型に関わらず、月曜日の正午~土曜日の正午まで 不可。
【解説】
用途地域問わず、不在型・居住型によらず、土日のみしか行えないということで非常に厳しいです。基本的に民泊をしてほしくないということかと思います。
江東区
【独自ルール】
家主不在・居住型に関わらず、月曜日の正午~土曜日の正午まで 不可。(国民の祝日に関する法律で定める休日の正午から翌日の正午までは除く)
【解説】
中央区同様に、用途地域問わず、不在型・居住型によらず、土日のみしか行えないということで非常に厳しいです。基本的に民泊をしてほしくないということかと思います。諦めた方が無難です。
目黒区
【独自ルール】
目黒区内の全域において、日曜日の午後0時から金曜日の午前12時までの週5日間は、住宅宿泊事業を実施できません。
【解説】
用途地域問わず、不在型・居住型によらず、金土日のみしか行えないということで非常に厳しいです。基本的に民泊をしてほしくないということかと思います。しかも、民泊制度運営システムからの届け出が出来ず、この時代に紙媒体でのみ受付です。
荒川区
【独自ルール】
荒川区全域において月曜正午から土曜正午まで(祝日正午からその翌日の正午までを除く。)の間、住宅宿泊事業を営むことはできません。
【解説】
用途地域問わず、不在型・居住型によらず、土日のみしか行えないということで非常に厳しいです。基本的に民泊をしてほしくないということかと思います。せいぜい西日暮里が成田とアクセスが良いくらいで、そんなに警戒するほど宿泊者が来るエリアとは思えないのに謎です。
まとめ:住宅宿泊管理業者のアドバイス
23区それぞれの特徴をしっかり掴んで、間違いない物件選びをするのに役立てていただければ幸いです。これから民泊事業を始める方々へ、全国で350件以上の民泊管理実績がある住宅宿泊管理業者ゆめゆめトラベルでは最新の情報とサポートを提供します。
何か疑問点があれば、お気軽にお問い合わせください。
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—このコラムを書いた人—
ゆめゆめトラベル https://www.yumeyumetravel.com/
ゆめゆめトラベル 代表 浅井 夢
所在地:東京都三鷹市井の頭4-16-6-403
住宅宿泊管理業者
登録番号:国土交通大臣(01)第F03187号
登録年月日:令和6年2月15日